活動報告活動計画・報告

日本環境学会2007年度の活動報告

この活動計画は2008年8月9日に開催された日本環境学会第34回通常総会で決定されたものです。


1.2007年度活動報告(2007年7月6日~2008年8月9日)

(1) 会員の移動(2008年6月28日現在)
  入会者数:58名、退会者数:30名
  会員数:625名
    一般会員:523名
   シニア会員:4名
   学生会員: 66名
   購読会員: 32名

(2) 通常総会
2006年7月7日に東京農工大学で開催した。
  
(3) 幹事会および常任幹事会を以下のように開催した。
   2007年 7月 8日  第1回幹事会    府中市(東京農工大学)
        9月29日  第1回常任幹事会  大阪市(ホテルアウイーナ大阪)      
        12月16日  第2回幹事会    倉敷市(倉敷市立美術館)
   2008年 3月 22日  第2回常任幹事会  大阪市(ホテルアウイーナ大阪)
        6月 28日  第3回常任幹事会  大阪市(ホテルアウイーナ大阪)

(4) 研究発表会
第33回研究発表会を2007年7月7~8日に東京農工大学府中キャンパスで開催した。

(5) シンポジウムおよび現地見学会
   「大気汚染公害地域の環境再生とまちづくり活動に学ぶ」シンポジウムを2007年12月15日に、現地見学会を12月16日に倉敷市で開催した。
   「食品汚染―有害物質による魚介類汚染問題―」シンポジウムを日本科学者会議公害環境問題研究委員会と共催して2008年2月2日に東京都文京区で開催した。

(6) 会誌等の発行
   日本環境学会会誌『人間と環境』33巻 3号、34巻 1号、2号を刊行した。
  
(7) ニュースレターの発行
発行なし。
  
(8) 国内外への環境問題への取り組み  
   1. ワーキンググループおよびプロジェクト
     東京湾海洋環境研究委員会
     廃棄物問題WG
     土壌汚染WG
     温室効果ガス排出実態分析委員会
     東京都日の出町広域処分場周辺環境調査委員会
     有害物質による魚介類汚染問題調査研究専門委員会        
    
   2. 後援・協賛・協力
    毎日新聞社・全国公害弁護団連絡会議・日本環境法律家連盟主催の市民シンポジウム後援「シリーズ公害 過去 現在・・・日本の経験を中国へ」2008年3月28日、大阪市。
    酸性雨調査研究会第4回市民セミナー「ディーゼル排ガスと健康」後援、5月17日、東京。
    「壊すな築地7.12東京大行進」協賛、7月12日、東京。
    日本科学者会議編集の『環境事典』への執筆協力。
         
(9) 部会報告
 ○ 総務部
   部長:田口直樹、部員:澤田鉄平
 ○ 庶務部
   部長:髙島邦子、部員:石川孝織、本間圭吾
  ① シニア会員制度を新設した。
   ・条件=在籍年数10年以上、年齢60歳以上、退職して常勤職を失った場合
   ・現在 4名       
  ② 会費の長期滞納者の取り扱いについて検討した。
   ・3年以上の未納者については会誌を送付せずに、請求書を作成し送付する。
   ・幹事会で協議する。
  ③ 会員名簿を入力中。
   ・データベースは作成済み。

 ○ 編集部
   部長:上園昌武、部員:神戸秀彦、長屋祐一、畑 明郎、除本理史、和田幸子、渡邉 泉
  ① 『人間と環境』33巻 3号、34巻 1号、2号を刊行した。
  ② 編集委員会の委員が変更された。これまでに編集委員会を2回開催した。
  ③ 投稿規程の改正を行った(34巻2号に掲載)。
  ④ 原著論文と研究ノートの査読制度を変更して、査読報告書の改正を行った。
  ⑤ 執筆者にはPDFファイルの電子データで抜き刷りを渡すことにした。従来の印刷の抜き刷りも可能である。
  ⑥ 『人間と環境』の英文タイトルをMan and EnvironmentからPeople and Environmentに変更した。

 ○ 共同研究部
   部長:長屋祐一、部員:伊瀬洋昭、歌川 学、大見興一、小野塚春吉、権上かおる、坂巻幸雄、佐藤 輝、瀬戸昌之、畑 明郎、本間 慎、森家章雄、渡邉 泉
    2007年7月7日,東京農工大学府中キャンパスにて共同研究部会を行なった.また,2007年12月には,各プロジェクト(PJ)/ワーキンググループ(WG)についてメールでのアンケート調査を行い,進捗状況,問題点などのとりまとめを行なった.
    継続PJ/WGは,東京湾海洋環境研究委員会,廃棄物問題WG,土壌汚染WG,東京都日の出町広域処分場周辺環境調査委員会であった.
    新規PJ/WGは,温室効果ガス排出実態分析委員会<2007年9月29日設置>,有害物質による魚介類汚染問題調査検討専門委員会<2007年12月16日設置>であった.
    完了PJ/WGは,ダイオキシン国際NGOフォーラム実行委員会<2007年12月16日完了>であった.
    停止PJ/WGは,首都圏大気汚染解析プロジェクト,和歌山県梅枯れ問題WGであった.  

 ① 東京湾海洋環境研究委員会[担当者:渡邉 泉]      
基本的に各学術団体より一名の参加で構成されており、当学会からは渡邉が参加。この旨、去年度の部会で説明済み (渡邉 泉)
一昨年前の第5回シンポジウム以降、原稿執筆と収集に専念し、滞っていましたが、本年1/18に編集委員会が開催され、提言書「のこしたい東京湾、研究者からの提言(仮)」第 1-2章とエッセイ、総合討論の原稿チェックを行いました。また、4月までに委員会を開催すべく日程調整に入っています。
提言書の出版に向けて第3章以降の執筆に入る
 ② 廃棄物問題WG[担当者:畑 明郎、坂巻幸雄、本間圭吾、髙島邦子]   
   2006年11月11日に四日市市で本学会企画部と日本科学者会議東海地方区が共催した「シンポジウム:産業廃棄物問題を考える―東海地域の事例を中心に―」において、畑明郎が四日市市の廃棄物問題解決への政策提言を行なったが、参加した高島邦子がシンポジウム報告を『人間と環境』Vol.33,No.2 (2007年6月発行)に、畑明郎が『日本の科学者』Vol.43, No.7(2008年7月発行)に「東海地方の産業廃棄物不法投棄事件への政策提言」を寄稿した。 滋賀県栗東市RDエンジニアリング産業廃棄物処分場による環境汚染問題に引き続き取り組んだ。とくに、2007年に滋賀県知事が代わり、県に対策委員会ができ、追加調査と対策案の検討が始まったので、畑明郎は、栗東市RD産廃問題調査委員会の委員として、会議やマスコミを通じて発言してきた。 坂巻幸雄は、岐阜市椿洞産廃不法投棄事件に引き続き、取り組んできた。
土壌汚染問題WGとメンバーが重複しており、築地市場移転問題など土壌汚染問題が忙しくなると、廃棄物問題WGの活動が鈍りがちとなることが現状の問題点である。
引き続き、滋賀県栗東市RDエンジニアリング産廃処分場問題や、岐阜市椿洞産廃不法投棄事件に取り組んでいく。

 ③ 土壌汚染WG[担当者:畑 明郎、坂巻幸雄、松井英介、佐藤克春、本間圭吾、髙島邦子、
   安田圭奈江]
   当WGの守備範囲は土壌汚染問題全般に及ぶものであるが、07/02/11の築地シンポ・02/12の豊洲現地見学、05/07の都知事宛要請書の発出等、2007年の活動の重点は築地市場移転問題に集中した。可能な限りの現地視察(調査の便宜供与は東京都によって頑強に拒否されているが)、都の招集した「専門家会議」の傍聴と(極めて限定的ながら)専門家との討論、市場関係者・政党・マスコミ・市民団体などとの交流と情報交換を活発に行った。その結果、東京都も「精密調査」に踏み切らざるを得なくなったものの、汚染の実体解明という最終目標に比べては、甚だ不十分な内容でしかない。さらに、都はこの調査結果を以てすべての決着を図り、以後移転計画を強行してくる構えを見せていることから、2008年度が一つの大きな山場となる。当WGとしては、学問的な正当性をベースに、根拠の曖昧な「リスク管理論」と徹底的に対決することで、運動の前進にそれなりの寄与を果たして行きたいと考えている。
   学会としての公式見解を、タイムラグを出来るだけ押さえて発信する必要が往々にしてある。常幹討議等に先立って、会長権限で行動や意志表示を行う必要も生じる場合が予想されるので、その際の手続き等についてあらかじめ幹事会の了解を求めておきたい。

 ④ 温室効果ガス排出実態分析委員会[担当者:歌川 学]
   9月末に承認いただいたところ。現在、メンバーの確認、たたき台としての作業分野や資料の準備を進めています。
気候変動は、科学的基礎や影響を含む全体は大変広範囲(IPCCは2500人の研究者でカバー)になり、排出量の管理や対策に絞ってもかなり広範囲になります。この委員会はあえて分野を絞って排出実態の分析だけに活動範囲を限定していますが、学会内外では対策の方法論やシナリオなどについてもニーズがあります。そこで、対策について議論する委員会がもう一つたちあがって連携できると活動に広がりができ、社会のニーズに応えやすくなると考えています。
分析の具体的スタートを切って第一段階の成果発信を予定しています。
 
 ⑤ 東京都日の出町広域処分場周辺環境調査委員会[担当者:瀬戸昌之、本間 慎、坂巻幸雄]
   日の出処分場をめぐるいくつかの住民のための裁判を支援し,ニュースレターや各種の学習会を行ってきた.
「燃やして,埋める」ごみ行政は今後も続くであろう.未だ焼却炉の建設はいくつも計画されているからである.都の現存の焼却炉の容量はごみ量の1.5倍もあるにもかかわらずである.焼却炉をめぐる利権から脱するつもりはないようである.
循環型社会の構築と地球温暖化防止にむけた具体的な提案を強化すべきであろう.

 ⑥ 有害物質による魚介類汚染問題調査検討専門委員会[担当者:小野塚春吉]
【活動経過と今後の計画】 2008.2.02 「食品汚染シンポジウム」共催,2008.3.29 第1回調査検討委員会,2008.6.28 第1回「勉強会・情報交換会」(公開研究会),2008.8部内研究会(予定),2008.10.25 第2回「勉強会・情報交換会」(公開研究会),2008.11.22-24 日本科学者会議第17回総合学術研究集会「有害物質による魚介類汚染問分科会」,2008.12.23 第2回調査検討委員会,2009.2「食品汚染シンポジウム」共催予定,2009.2 中間報告書, 2009.3第3回「勉強会・情報交換会」(公開研究会),2009.4関係者・関係団体との意見交換会,2009.5第3回調査検討委員会,2009.7報告書
【委員会構成】(2008.7.16現在)委員数 15人,協力委員数 1人. 
2009年2月 「食品汚染シンポジウム」で、制度・政策面の議論を行い、2009年7月に向けて報告書をまとめる。

○ 企画部
   部長:高山 進、部員:近藤 真、南 有哲、関 耕平、塩飽 敏史
    シンポジウム「大気汚染公害地域の環境再生とまちづくり活動に学ぶ」開催
日時:2007年12月15・16日(土・日)
・15日:シンポジウム
会場:倉敷医療生協会館3F ホール
主催:日本環境学会企画部会
共催:倉敷医療生活協同組合、財団法人 水島地域環境再生財団
後援:全国公害患者の会連合会、倉敷市公害患者と家族の会
基調講演:寺西俊一氏「環境再生を通じた地域再生」の課題、今後の展望
    シンポジウム 司会:磯部作
    報告地域:名古屋 NPO法人名古屋南部地域再生センター 中井氏
大阪(西淀川) 財団法人公害地域再生センター 鎗山氏
倉敷 財団法人水島地域環境再生財団 白神氏
四日市 四日市市職労 中浜氏
川崎 かわさき環境プロジェクト21 除本氏
尼崎 尼崎・ひと・まち・赤とんぼセンター 松氏
・16日:現地見学会(9:00~12:00)
 
○ 情宣部
部長:松本 滋、部員:原田 泰(ML・HP管理者)、近藤 学、杉本通百則、中村 寿子、
① ニュースレターの発行
ニュースレターは今まで、役員選挙公報、選挙結果広報、研究発表会プログラム等、会誌「人間と環境」記載事項を補う、会員向け連絡等の役割を担うものとされ、年間2・3回発行されてきたが、本年度は基本的な情報は会誌に掲載されたため、その他の急を要する情報はホームページによることとし、ニュースレターは発行しなかった。

② ホームページの管理等
言うまでもなく情報の出入り口としてのホームページの役割は年々重くなっている。と同 時に学会が社会に公表している情報として責任も重い。
学会の主催行事など学会の主要な情報は適宜ホームページに掲載しているが、情報が適時に提供される必要があり、また共催行事や他団体からの提供情報など掲載の可否を判断すべきこともある。
そこで、以下の手続きによることとする。
1.ホームページへの情報掲載
(1)常任幹事会決定事項
  情宣部長がホームページ担当者に掲載を指示する。
(2)その他の情報
  各部からの情報、他団体棟からの情報は、情宣部長にメール等で電子媒体により掲
載要請し、情宣部長は会長もしくは常任幹事会の承認を得て掲載を指示する。

2.メーリングリストへの情報掲載
  情報提供者自身が情報を掲載する。(添付ファイルではなくメール本文に書き込むの
  が望ましい。)

3.ホームページのチェック
常任幹事、幹事等役員は頻繁に学会ホームページを閲覧し、問題等を発見した場合は
情宣部長にメール等により連絡する。情宣部長は必要に応じて情宣部員に諮って対処する。

③ その他
 交通費の問題もあり、総会時以外には部会は開催しなかった。・

○ 国際部
部長:和田 幸子、部員:歌川学、和田武
本年もまた、国際部として特にまとまった活動をする余裕はなかった。
ただし、「国際部」としての特にまとまった活動の成果ではなかったが、今年度は、懸案だった「国内外の環境問題に対する取り組みの紹介を学会誌に反映する」との問題意識のもとに、ともあれ今回4本の報告が掲載されたことは評価できることではないかと思われる。
なお、理想的には、環境問題に対する内外の動向についてこまめにニュースレターなどを発行することも考えられるが、現在の本部会の力量では困難である。したがってやはり学会誌の活用が重要である。
さらに、この他の方法として、条件がある場合には、適宜小規模ではあっても地域的な講演会や研究会なども計画したいと考えている。
世界各国で発表される環境関係の研究成果や環境問題への取り組みの情報や動向については、それに関わるすべての会員諸氏による学会誌への積極的な情報発信がいっそう促進されることを期待したいものである。