滋賀県の栗東市RDエンジニアリング産業廃棄物処分場の環境調査方法に対する意見

滋賀県の栗東市RDエンジニアリング産業廃棄物処分場の環境調査方法に対する意見

RD処分場の有害物から飲み水を守る会 様

2006年2月6日
日本環境学会廃棄物問題ワーキンググループ
(座長:畑明郎会長、副座長:坂巻幸雄副会長、中村寿子情宣部長、泉邦彦幹事)

 2005年11月24日付けで貴会から検討依頼のあった「滋賀県の栗東市RDエンジニアリング産業廃棄物処分場の環境調査方法に対する意見」を下記のとおり取りまとめましたので、報告します。

1. 土壌調査の前処理において、105度、4時間の乾燥処理について

 揮発性有機化合物(VOC)は、有姿のまま採取し分析することが基本であり、環境省の土壌分析法では、「密封できるガラス製容器、空げきが残らないようにする、分析は採取後ただちに行う、行えない場合は4度以下の冷暗所に保存」となっています。
 しかし、滋賀県の前処理法では、風乾(自然乾燥)後、105度で4時間の乾燥を行っており、これでは揮発性有機化合物が揮発してしまい、分析結果は低目に出てしまいます。ダイオキシン類や農薬など有機化合物も一部揮発してしまう可能性があります。
 水銀など重金属についても、環境省の土壌分析法では、風乾はあるが乾燥はありません。とくに、水銀は常温でも揮発するので、滋賀県の前処理法では低目に出てしまいます。
 このように、滋賀県の前処理法は不適切であり、正しい分析値が出ないものと考えます。

2.「ダイオキシン類の原因物質を目視で確認できる」という滋賀県の見解について

 滋賀県当局は、「ダイオキシン類の原因物となる燃え殻や特殊な薬剤はなかったので、問題ないと判断した」と、県議会で答弁し、目視でダイオキシンの有無を確認しました。
 一般にダイオキシン類の含有量は、ピコグラム(1兆分の1グラム)/グラムレベルであり、目視で有無を確認できるものではありません。また、ダイオキシン類の発生源は、廃棄物の焼却だけでなく、金属製錬炉、廃油、農薬などさまざまなものがあります。
 したがって、さまざまな廃棄物が埋め立てられた処分場のダイオキシン類濃度は、分析してみないと分からないので、目視でダイオキシン類の有無を判断して分析もしない滋賀県の態度は、非科学的であると言えます。

3. 埋立処分場の地下20mの土壌中ダイオキシン類を土壌環境基準1,000ピコグラム/グラムとして比較することは妥当か?

土壌環境基準は、表層5cmの土壌を対象としており、地下20mの土壌を対象とすることは問題があると言えます。地下20mの土壌は地下水と接触していることを考慮すると、水底の底質のダイオキシン類環境基準の150ピコグラム/グラムと比較する方が望ましいと考えます。
 滋賀県の調査では、深掘り地下20mの土壌から34ピコグラム/グラムと72ピコグラム/グラムが検出されているが、72ピコグラム/グラムは底質環境基準150ピコグラム/グラムの約半分となり、自然界値の1~10ピコグラム/グラムと比べても、人為的な汚染があると言えます。

4.地下水中の有害物のサンプリングについて

 水銀、鉛などの重金属やダイオキシンは、水に溶けにくく、SS(浮遊粒子)に付着する場合が多いので、地下水中の有害物質のサンプリングに当たっては、SSの存在を意識する必要があります。その際、地下水を0.45ミクロンのフィルターでろ過してSSを除去したろ液だけを分析するのは、不十分です。地下水はSSを含んだ状態で下流に流れていくので、SSを含んだ地下水の全量を分析して水質を評価するべきであり、SS中の有害物質を分析することも重要です。
なお、水道事業体による水源調査の場合、水銀、鉛をはじめとする重金属については、SSを除去せずに硝酸を加えて加熱するという全量分析をしており、この分析法は、上水試験方法による全国共通の方法です。また、環境庁の『ダイオキシン類に係る水質調査マニュアル』(1998年)によれば、「同時にSSの測定を行うことが望ましい」としている。
 ちなみに、栗東市が2005年10月に実施したボーリング孔底層水のサンプリングにより、環境基準を超える水銀が検出されたことは、滋賀県の「ボーリング孔清掃後、地下水汲み上げ後、およびボーリング孔中層水サンプリング」が、問題があることを示しました。
したがって、ボーリング孔内の地下水をサンプリングする場合は、SSを多く含む底層水のサンプリングや、ボーリング孔を清掃せずに有姿でサンプリングすることが、汚染の実態を把握するうえで妥当であると言えます。

以 上


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