日本環境学会2005年度の活動報告

この活動報告は2006年6月17日に開催された日本環境学会第32回通常総会で承認されたものです。


【日本環境学会2005年度活動報告】

1.2005年度活動報告(2005年7月2日~2006年6月16日)
(1) 会員の移動(2006年4月15日現在)
  入会者数:31名、退会者数:59名
  会員数:581名
    一般会員:498名
学生会員: 50名
購読会員: 32名
賛助会員: 1名

(2) 通常総会
2005年7月2日に北海学園大学で開催した。
  
(3) 幹事会および常任幹事会を以下のように開催した。
   2005年  7月 3日  第1回幹事会    札幌市(北海学園大学)
        7月30日  第1回常任幹事会  大阪市(大阪市立大学文化交流センター)
        9月24日  第2回常任幹事会  大阪市(大阪市立大学文化交流センター)
       11月26日  第3回常任幹事会  大阪市(大阪市立大学文化交流センター) 
   12月17日  第2回幹事会    大阪市(ホテルアウイーナ大阪)
  2006年 2月 4日  第4回常任幹事会  大阪市(大阪市立大学文化交流センター)
4月15日  第5回常任幹事会  大阪市(大阪市立大学文化交流センター)
6月17日  第3回幹事会    松江市(島根大学)

(4) 研究発表会
   第31回研究発表会を2005年7月2日~3日に北海学園大学で開催した。
  
(5) 会誌等の発行
   日本環境学会会誌『人間と環境』31巻 3号、32巻 1号、2号を刊行した。
  
(6) ニュースレターの発行
   2006年5月に第32回研究発表会特集号を発行した。

(7) 国内外への環境問題への取り組み
   1. ワーキンググループおよびプロジェクト
     東京都日の出町広域処分場周辺環境調査委員会
     東京湾海洋環境委員会
     首都圏大気汚染解析プロジェクト
     和歌山県梅枯れ問題
     滋賀県栗東市RD産廃処分場問題
   2. 協賛
     酸性雨調査研究会市民シンポジウム 「地球温暖化防止/ディーゼル排ガスと健康―市民シンポ第2弾」2006年4月22日
     日本リスク学会「化学物質による内分泌かく乱作用のメカニズム―健康影響の視点から」2006年6月16日
   3. 共催
     日本科学者会議公害環境問題研究員会ミニシンポジウム「頻発する都市の土壌汚染」2006年2月11日
     日本科学者会議三重支部「今日の産業廃棄物問題を考える」2006年4月27日
   4. 後援
杉並みずみち調査会・善福寺まちづくりの会「私たちの足もと武蔵野台地をさぐる―うるおいのある杉並~川、池、湧水、そして街―」2005年10月8日

  
(10) 部会報告
 ○ 総務部・庶務部
   終身会員制度の創設を検討した。
   会員名簿整備のため、会員の最新情報をニュースレター発送時にはがきを同封して記入・返送依頼した。

 ○ 編集部
  『人間と環境』31巻 3号、32巻 1号、2号を刊行した。 

 ○ 共同研究部
   2006年2月4日に、大阪市立大学文化交流センターにて共同研究部会を開催した
2005年度共同研究部員は、最終的に本間慎、大見興一、長屋祐一、渡邉泉、権上かおる、伊瀬洋昭、畑明郎、友野哲彦、森家の9名となった。
前年度まで取り組まれていたプロジェクトあるいはワーキンググループ(WG)[東京都日の出町広域処分場、和歌山県梅枯れ問題、東京湾海洋環境委員会、首都圏大気汚染解析の4つ]に加え、新たに滋賀県栗東市のRD産廃処分場問題を扱う「廃棄物問題WG」を承認した。
  1. 東京都日の出町広域処分場周辺環境調査委員会[報告:瀬戸昌之(本間部員の代理)]
    東京で収集した一般廃棄物は燃やして、灰は埋められる。23区で発生した灰は東京湾に、多摩地域で発生した灰は西の日の出最終処分場に埋められる。
    日の出最終処分場は豊かな森を削って造成され、しかもこの処分場は地下水への激しい汚水漏れをひきおこし、さらに、周辺環境を汚染している。際限のない自然破壊と資源のムダ使い、税金のムダ使いに歯止めがかからない。
    日の出住民、日本環境学会、そして全国の多くの人達によってこの実態が明らかにされ、改善策が提案されている。しかしながら、事態は何ら改善されることなく、大量生産・大量消費が続けられている。
    しかも、汚染の実態把握のために情報公開を要求した日の出住民に対して、データーのかわりに間接強制金、総額約2億円、が支払われた。この2億円は地方裁判所の判決で支払われ、住民はこれを受け取ることが強要された。さらに、この2億円は最高裁で返却を命じられ住民は2億円を返却した。これで終わっていない。この2億円に対して年額5%の利子をつけて支払えと強要されている。住民の要求したのはデーターである。勝手にデーターのかわりに2億円を振りこんでしかも5%の利子をつけろと強要しているのである。これが法治国家か。ごみ問題は何も解決していない。もちろん日の出の問題も何ら解決していないのである。

2. 和歌山県梅枯れ問題WG
    2006年3月28?29日、大見と長屋により梅衰弱症(梅枯れ・ウメ生育不良など)の調査が和歌山県みなべ町、田辺市で行なわれた。報告は次のとおりである。
    「和歌山梅枯れの現状について」[報告:大見興一]
   梅枯れ(衰弱症・生育不良等のいい方がある)本数は、99年以後毎年減少してきたが、03年で底を打ち、04年に増加した。この増加により、また梅枯れがはじまったのかと、関係者は緊張したが、心配するほどのことはなく、05年はまた少し減少した。06年はまだ、傾向がつかめる時期ではない。
     これに加えて、梅枯れの原因と疑っていた御坊火力発電所は極端に低い稼働率が続き、3 機の発電機のうちの1機を軽く動かせば十分であり、03年末からはこの1機に脱硫装置がついた。さらなる将来不安の種だった第2火力発電所の増設計画は取りやめになった。
     梅枯れに関しては梅農家の気持ちは落ち着いてきた。梅の農地面積は増加し、梅の生産量も上がっている。しかし、不安が別のところに発生した。梅の消費量の「頭打ち」、中国産の梅との「勝ち目の薄い」競争等である。
     では、梅枯れは過去の問題になったのだろうか。現地農家、田辺市役所、みなべ町役場の判断では、梅枯れは終わっていないということである。
     開墾地(パイロット)において、この3月、2年生の若木が500本も枯れた。金銭的にも精神的にも大きな打撃である。地域をあげてこの原因を探索しようとしている。また、ひどかった梅枯れに学んで、以前より密に植える(間引きを控える)畑作りが農家の流れになっている。1本の木の収穫量を少なくする(負荷を軽減する)ことにより、環境変動に対する梅の木の抵抗力を高めることを期待しているのである。
    従来、梅の木を入れ替えるサイクルは20年あまりで、むしろ「梅は枯れない」と考えられ、梅枯れを数える習慣はなかった。昨今やっと落ち着いた統計がとられている。農家は再び、梅が枯れだすかも知れないという不安を持っていて、自分達の智恵で備えを怠っていない。
3. 東京湾海洋環境委員会[報告:渡邉 泉]
    現在、当委員会のテーマであり、最終目標である「東京湾再生」に関する出版物、その問題提起部分にあたる第一章「東京湾の現状」について、各執筆者へ原稿依頼しているところである。2006年2月23日に委員会が開催され、集まった原稿に基づく第一章の検討と、その内容で行われるシンポジウムの日程などが検討された。
4. 首都圏大気汚染解析プロジェクト[報告:権上かおる]
    首都圏の大気汚染について、以下の取り組みを行った。
本学会と酸性雨調査研究会の双方にプロジェクトチームをつくり、打ち合わせを4-5回行なった。
2005年4月24日、全理連会館にて「ディーゼル排ガスと健康」シンポジウムを開催した。(当日チラシ:http://www.vuni.ne.jp/~jarn/pdf/4.24.PDF)、(経費の赤字分を折半し た)                    
   プロジェクトチームとして、小川和雄が首都圏の大気汚染報告を行った。同シンポは、100名近い参加で、内容的にも成功をおさめた。
『人間と環境』31巻2号,2005へ、「国内外の環境問題のとりくみ」、市民シンポジウム「ディーゼル排ガスと健康」あなたは空気を選べますか?を権上が投稿した。
『人間と環境』31巻2号,2005へ、「東京都における浮遊粒子状物質の推移」論文を小川和雄、伊瀬洋昭が投稿した。
  2005.4.24シンポの成果をもとに、岩波ブックレット「安全な空気をもとめて(仮)」を製作中である。
2006年4月22日に全国地球温暖化防止活動推進センターにて、「地球温暖化防止/ディーゼル排ガスと健康?市民シンポ第2弾」を開催する。
5. 廃棄物問題WG[報告:畑 明郎]
   滋賀県栗東市RDエンジニアリング産業廃棄物処分場による環境汚染問題に関して、2005年11月24日付けで「RD処分場の有害物から飲み水を守る会」から当処分場の環境調査方法に対する意見が求められた。本学会は新たに廃棄物問題WG(畑明郎、坂巻幸雄、中村寿子、泉邦彦)を組織し、畑が代表して共同研究部員に加わった。守る会からの依頼に基づいて本学会としての「滋賀県の栗東市RD産廃処分場の環境調査方法に対する意見書」を取りまとめ、常任幹事会で審議・承認のうえ回答した。意見書の発表は、毎日新聞の3月24日朝刊滋賀版にて「環境学会 栗東の産廃処分場跡地問題:県の検査法不適切」という見出しの記事で報じられた。

○ 企画部
1. 企画部員
  高山進(部長、常任幹事)、近藤真(幹事)、関耕平(幹事)、塩飽敏史(幹事)、南有哲 以上5名。
2. ミニシンポ
  環境問題ミニシンポジウム2006年2月11日(土)13:30~16:30
  頻発する都市の土壌汚染―対策の現状と課題―
●畑明郎氏(大阪市立大学大学院教授・環境政策論)
・大阪アメニティーパーク(OAP)-高級マンション敷地の汚染-
・土壌埋め戻し材フェロシルト-「リサイクル製品」による土壌汚染-
●佐藤克春氏(一橋大学大学院博士課程・環境経済学)
・東京都六価クロム事件
・東京都北区豊島5丁目団地のダイオキシン汚染
  日本科学者会議公害環境問題研究委員会と共催
   会 場: 文京シビックセンター
3. 学習講演会
  今日の産業廃棄物問題を考える-三重県における大量不法投棄、フェロシルト問題を通して-
  2006年4月27日(木)16:30-18:30
●近藤真氏(岐阜大学教授)「大量不法投棄問題を考える」
●萩原量吉氏(団体職員)「フェロシルト問題を考える」
   日本科学者会議三重支部と共催
   会場:三重大学共通教育281番教室

○ 情宣部
1. 情宣部員
    中村寿子(部長 常任幹事)、原田 泰(ML・HP管理者 幹事)、近藤 学(幹事)
    松本 滋(幹事)、小川和雄(前情宣部長)、大見興一(前情宣部)  以上6名。
2. メーリングリスト活用促進
・ネチケット改定、ならびにML運用規定作成
2000年に作成されたネチケットに若干の改定を加えるとともに、ML運用規定を作成した。外部からの当会MLによる通知依頼については、情宣部を窓口に対応することとした。
・メーリングリスト参加勧誘
   『人間と環境』発送時にML参加勧誘の文章を添えた。新入会員には、入会申し込み時にML参加の意思を確認し、入会手続き終了後、速やかにMLに加えている。
3. HPの活用促進 
・常任幹事会、幹事会等における決定事項の迅速な連絡
  各会議の議事録等を常任幹事ML、幹事MLにより送信、確認・修正して、迅速にHP会員ページに掲載し、見学会・共催行事等の案内についても引き続き掲載し、HPの充実に努めている。
・ホームページによる入会申し込みの合理化
ウェブページで書き込んでもらった氏名等が自動的に事務局宛メールとなって送信されるようにした。
4. ニュースレターの発行
    研究会プログラムの連絡を行った。

○ 国際部
  2005年度の国際部の活動としては、各メンバーがそれぞれもっている情報源から、国際的な環境問題に関する情報を収集するという形で終始し、国際部としてそれらの情報を整理してまとまった形で公表するまでには至っていない。
   しかし、現実の環境問題がいっそう国際的な性格を強めてきていることから、当然本学会の会員諸氏の研究も国際的広がりのあるものが増加しているのが事実である。また、今日では、イラク戦争やBRICsの台頭等とも絡んで、原油の国際価格高騰の問題を、原子力発電の途上国への建設などの動きとすり替えようとする動きもある。いずれこうした問題の諸特質に関して、国際部として機関誌などに論点を整理して掲載し、学会員の論究に資する事も必要だろう。問題の地域的広がりが拡大し国際的取り組みが重要度を増すなかで、本部会が学会から課せられた以上の様な課題に十分応えられたとは言えない。
   国際部の扱う問題の領域は非常に広範囲に及ぶものであるから、問題別に情報を整理し、その都度整理して機関誌等に公表する必要があるのではないかと思う。
本学会の主旨からしても、ある程度の情報は学会として共有する体制をもつことが必要であろう。したがって、機関誌の編集方針や編集計画などを常任幹事会として常に把握できるならば、さまざまな局面で国際的な動向などを公表しやすくなるものと考えられる。機関誌の 編集委員会と連繋を密にしたいものである。


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