学会声明活動報告

COP15結果への日本環境学会のコメント

COP15結果への日本環境学会のコメント
地球温暖化対策の強化、推進を求める

2009年12月21日

 コペンハーゲンで行われていた気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)は、12月19日、主要国による「コペンハーゲン合意」に「留意する」との文書を採択して終了した。地球温暖化防止は「待ったなし」の段階であるにも拘らず,期待された議定書改正はおろか、全体削減目標や各国目標も政治宣言に盛り込めなかったことはきわめて残念である。

 国際社会は、将来の地球環境への重大影響を回避する責務がある。このことは各国の経済基盤をまもり、将来世代の生存基盤をまもる世界共通の最優先の課題である。しかし、これまでに先進国、途上国から表明された温室効果ガス削減目標では、コペンハーゲン合意に盛り込まれた産業革命前からの気温上昇を2℃以内にとどめることは不可能である。

 来年冬のCOP16を待たずに可能な限り早急に国際会議を開催し、2℃以内への抑制を確実に実現するために、2015年までに世界排出量のピークアウトを展望し、先進国全体で少なくとも2020年までに1990年比25%以上の削減となる各国削減目標を定めた京都議定書改正案に合意することを求める。また、途上国については持続可能な低炭素社会への発展が不可欠であり、先進国の支援の下で温室効果ガス排出量の多い新興途上国も削減目標を明確にすることを望む。

 日本政府は、25%以上の排出削減を、森林吸収や京都メカニズムに頼らず国内で実現することを確約するとともに、炭素税、国内排出量取引、再生可能エネルギー電力買取補償制度、省エネ規制強化など、25%以上の削減を国内で担保する政策を、国民的議論のもとに早急に実現する道筋をつけるべきである。このような政策を実施しても、GDPや国民の可処分所得は増加する。また、将来性ある産業の発展や雇用の拡大,エネルギー自給率の向上、農山村地域の活性化、日本の国際的地位向上など、さまざまなメリットももたらす。世界の排出削減を促進するためにも,日本が他の先進国と共に大幅排出削減にまず踏み出し,成果をあげることが求められる。

 日本環境学会は,日本政府が、国民の合意の下で上述の政策を積極的に推進し、国際社会をリードす ることを強く求める。